Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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デュッセルドルフからロンドンに向かうブリティッシュエアウェイズ機Airbus 320が突然機首を上げて急上昇を開始したのは着陸の5分前、ロンドン中心部を過ぎてファイナルアプローチに差し掛かったときだった。晴天下、何の問題も無いように思えたフライトだったが、最終着陸態勢からの異常な上昇に旋回。まもなく、機長がキャビンクルーに急ぎ操縦室まで来るように機内放送。我々乗客の不安をかきたてる。

数分後に操縦室から出てきた客室乗務員の顔は、作られた微笑みに不安を押し隠しているように見えた。そして機長のアナウンス…
「機体に異常が見つかったため、着陸を中止して旋回します。三つある油圧系統のうち一つがうまく動かないため、機体のコントロールがうまく行かない可能性があります。今から十分ほど飛行し、その間に機体の状況を調査します。」

不安げに顔を見合わせる乗客。私の隣に座る同僚のイギリス人女性に、油圧って具体的にどこに問題が出るのだろうと聞いたが、彼女も分からないと言う。それを聞きつけその隣の男性が、おそらくタイヤがうまく出ないのか、フラップがちゃんと動かないのかどちらかだろうと教えてくれたが、それを聞いても余計不安になるだけだった。隣の同僚は顔面蒼白になり、足が震えだしたと私に訴える。

数分後、

「先ほども申し上げたとおり、油圧系のトラブルが発生し、Landing gearが動かない状況です。着陸時の姿勢制御に問題が出る可能性があるので、緊急着陸態勢を取ります。客室乗務員がこれから緊急避難方法について説明をしますので注意して聞いてください。」

ここにいたりキャビンクルーの表情が真剣になり、乗客に緊急着陸時の注意について説明をして回る。頭の上に手を組んで、前かがみに頭を下げる、あれだ。英語で”Brace position”と呼ぶことを初めて知った。

数日前のシベリア航空のブレーキ事故の映像が頭をよぎる。家族のことを思い、もしここで死んだら家族や同僚は悲しむだろう、どうせ死ぬなら即死がいいな、内臓破裂などで苦しみながら死ぬのはごめんだななどと考える。

そうして十分くらいの時間が経ち、再度ファイナルアプローチに入ろうとして再度機長のアナウンス。

「その後の調査で油圧系統にまだ問題はあるものの、タイヤ部分には問題がなさそうなことが分かりました。おそらくこのまま問題なく着陸できると思いますが、ブレーキに問題が出る可能性もあるので、くれぐれも注意をお願いします。」

このアナウンスを最後に機はファイナルアプローチに。そして問題なくタッチダウン。急なブレーキはかけずに、いつもより長い距離を走ってから滑走路脇に停止。周囲には多くの消防車両、警察車両が集まってきたが、発火などの問題はなかったようだ。機内からは拍手が沸き起こった。

――という訳で、生まれて初めてEmergency landingを体験。飛行機にはとにかくつきがない私だが、ここまで怖い思いをしたのは初めてである。改めて見てみるとエアバスの機体は結構古いようで、老朽化が進んでいただろうことが見て取れる。メンテナンスの不備なのだろうが、古い車同様、古い飛行機にはやはりトラブルが起こるのが現実である。

先週に引き続き、月曜から水曜まで三日間のドイツ出張。色々ブログに書きたいネタもあったのだが、とても忙しく、書く暇もなかった。最後の最後にしたくもない強烈な体験をしたので、記憶がリアルなうちにまずはこちらを書いて、ドイツでの話はまた後ほど触れたいと思う。
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コメント

ご無事に着陸おめでとうございます。
生きているっていいですね。
ごくろうさまです。
万歳!!!
無事で何よりでしたね。読んでいて怖くなりました。
老朽化した航空機が飛ぶ以上、危険はいつもついてまわるのですよね。
古くなくても、何時なにが起こるかは分かりませんけれど・・・
言葉が見つからないです。でも本当に良かったです。
華さん、
ありがとうございます。今となってはおおげさですが、かなり真剣に死ぬことを覚悟しました。ほんとに何もなくてよかったです。
ほんとに無事でなにより。今週はウチも夫が出張から帰って来ました。飛行機に乗るときは、やはり心配です。私自身は幸運にも、乱気流すら体験したことがないのですが、やっぱり飛行機に乗るときにはいろいろ考えてしまいます。知り合いで、家族が一緒の飛行機に乗らないという人がいました。例えば父+子と母+子が別の便に乗るのです。万が一のことを考えて・・・と言っていましたが、あまり納得できませんでした。(ちなみにアメリカ人でした・・)

この怖いで、今後そういうことはないと思います。だって、どれだけの飛行機が毎日、空を飛んでいることかと考えれば、トラブルの確率は低いのですからね。パパは無事に帰らなくてはいけません!
ステラさん、
ありがとうございます。
あの不安感は体験してみないと分からないと思います。
日航機が緊急着陸したとか、エアポケットで急降下して怪我したとか時々ニュースになっていますが、あれではとても恐怖感は伝わらないのだということを今回実感しました。
まあ、回数をこなしていると色々あるということですね。
castagnaさん、
会社の幹部が飛行機を分けて乗るというリスク管理は聞いたことがありますが、家族が同じ飛行機に乗らない、というのは珍しいですね。でも、自分はだめでも、子供だけには助かって欲しいとは思いますが。

まあ、確かに交通事故よりも死ぬ確率は低いので、大丈夫だとは言い聞かせてはいますが、毎回多少不安なのは確かですね。特に今回のはかなり不安感が大きかったです。
ご無事で何よりです。 「自分はダメでも、子供だけは・・・」そうですね、そう思う一方、冷静な時は、子供を残して逝くというのは、極力避けたいことだ、とも思います。あの世から子供を見守ることが出来る、とはいっても、あの世からでは、簡単には子供の悩みに耳を傾けたりして人生をサポートしてやれないですよね、余計な苦労もさせるだろうし・・・。だれが子供の面倒を見てくれるか、にもよりますし・・・・。
ま、それは、それとして、、、、 家族や同僚は悲しむだろうな、、の他に、何か心残りは感じませんでしたか? ご自宅に戻られたら、ご家族とたくさんハグしてくださいね。
宇宙さん
そうですね。おさない子供を残して死ぬのは心残りですね。
でも、機中では意外と落ち着いていました。もちろん不安でしたが、パニックになるほどではありませんでしたし。イギリス人の同僚からは落ち着いていたわねと感心されました。

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TI

Author:TI
日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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