Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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アメリカやカナダに留学する人を対象としたTOEFLという英語力検定試験があります。このテストで一定の点数が取れないと、大学での授業を理解するのに十分な英語力がないとみなされ、入学が許されません。試験ではリスニング、グラマー、リーディング、ライティング、スピーキングの能力が測られます。TOEICがビジネスマンを対象とした試験である一方、TOEFLはよりアカデミックな英語力を問われるため、リーディングの内容や、単語などが難解になる傾向があります。このTOEFLを主催するETSが毎年国別の受験者の平均点を公表するのですが、2006年のデータでは、日本は120満点中65点で、アジア29カ国中でとうとう最下位となってしまいました。韓国の72点にはもちろん及ばず、カンボジアの71点、北朝鮮の69点やモンゴルの66点よりも下というわけです。アフリカ諸国でも日本より低い国は数えるほどしかありません。

オランダ    102
デンマーク    101
シンガポール 100
イギリス 97
ドイツ 96
アメリカ 85
世界平均 79
中国 76
韓国 72
カンボジア 71
イタリア 71
北朝鮮 69
モンゴル    66
日本   65
サウジアラビア 59
カタール 54

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ここから何が読み取れるのか、私なりに考えて見ました。
このデータを見て、「日本の英語教育レベルが低い」という議論がよくされますが、これだけを論拠にすることはやや乱暴です。例えば、受験者の多さの問題があります。例えば、中国の受験者数は2万人、日本は18000人と同程度ですが、中国は13億人の総人口なのに対し、日本は中国の10分の1以下の人口ですから、中国では選りすぐられた人だけが受けているのに対し、日本は受験者の裾野がより広いといえます。受験者が限られているというのは開発途上国全般に言えることで、北朝鮮やカンボジアなど、受験者数はぐっと少ないところを見ると、トップのエリート層だけが受けているのではないかと思われます。受験した人数が国民人口全体に対して低ければ、そこから国民全体のレベルを推し測ることはできません。つまり、このデータから「日本国民の英語力はアジア最低」とは言い切れないわけです。

また、TOEFLは留学を希望する人が受ける試験なので、年齢層は10代と20代に偏重します。社会人になってから英語力をアップさせた人はここには含まれないわけです。日本の企業ではTOEFLではなくTOEICが英語力の指標として使われることが多いので、TOEICで比較すれば日本はもっと良いかもしれません。ただ、TOEICは日本以外ではあまり普及していないので、全世界での比較となるとTOEFLにならざるを得ないようです。

ただ、だからといって日本人の英語力の弱さが問われないわけではありません。例えばドイツを見ると、受験者数14000人は人口比率では日本と大して変わらないのに、平均点は96点と日本より31点も上です。これはそのまま英語力の差を表していると言えそうです。さすがにヨーロッパはどこも高得点で、70点のコソボと71点のイタリアを底に、ほとんどの国が80点以上をマークしています。実際住んでいて感じますが、日本人の英語力は欧州先進各国に比べるとかなり劣ることは間違いなさそうです。

なお、受験者数を見ると、韓国の受験者数32000人は世界でもずば抜けています。二番目が人口10億のインドの24000人(91点)です。韓国は人口が日本の四割以下なのに、受験者数は日本の倍近く、平均点も日本以上と、韓国全体の米国留学熱の高さが見て取れます。

ちなみに、私自身も数年前、アメリカの経営大学院に入るためにTOEFLを受けた口です。当時は今とは方式が少し違いましたが、オランダ人くらいのスコアをマークすることができました。しかし、だからといってそれでネイティブのように英語を使いこなせるかというと決してそうではなく、ただ、多少難しいアカデミックな英語を読んで理解できる語彙力と、文法力、リスニング力がある程度であり、実際の会話力やコミュニケーション力といったものになると、実際にアメリカやイギリスに暮らしてから身についていきました。この辺りに、今後の日本での英語教育が改善できる点があるかもしれないと思っていますが、このテーマはまたいずれ、機会があれば取り上げてみたいと思います。
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コメント

以前は英検でしたが・・・今我が家ではTOEIC・・・かな、次男も長女も・・・いい年ですが・・チャレンジです。
そうですか、日本は英語を勉強してる割に・・点数は伸びないんですね。五感が違うんでしょうね。ラテン語系同士はある程度共通項があって、理解が早いと聞いて居ます。日本に住み続けている日本人にとって、言語は環境が・・悪いですね~~。友人の娘さんはわざわざマンションを英語圏の方と共有していますが・・慣れが・・必要だと言っていました。大変ですわ~~~。
華さん、

TOEICは二年おきに受けなおすことを奨励していますね。二年間経つと点数を履歴書に書けないそうです。言語習得に年齢は関係ありませんから、がんばってください。

私の経験では、日本人の英語学習時間は決して長くないように思います。私は中高学時代、公立学校の倍の時間英語の授業があり、それが大学、社会人以降効いてきました。

欧州諸国では小学校低学年から第二外国語が始まります(大半は英語)。うちの娘は小学3年生ですが、英語はもちろん、一年生の時からフランス語の授業が始まり、一年半前からドイツ語がそれに加わっています。ただ早く始めればいいというものではないという意見には賛成ですが、一方で早くから英語を導入して結果を出している国もたくさんあります。

日本人にとっては確かに日本語が英語から遠いというハンディはあると思います。でもそれは韓国も一緒ですから、結局は、限られた勉強時間枠のどれほどを英語教育に当てるかという優先順位と質の問題ではないでしょうか。英語が不要な社会であれば勉強時間は別に少なくてもいいわけです。あとは、質を上げて時間当たりの学習効率を上げることですが、言語習得にはその言語に触れている時間量がものを言いますから、難しいですね。
TI さん
興味深く読まさせていただきました。
私は、高校、大学と英語が不得意でやっと必修単位を満たしたようなわけで、いまでも恥ずかしいような不完全な英語しか出来ません。
私の仕事は、実験系の研究でしたので、教育のバックグラウンドの異なった人々の協力が必要ですが、アメリカでは何とか研究活動をしてきました。
そんな経験から、日本人の英語が不得意といわれるのは語学力以外の原因もあるように思います。それは、
日本の社会での会話では、共通の理解を前提として話すために、相手の話す内容を分析的に理解したり、自分の意見を相手に理解させようとする習慣が少ないことの原因が大きいように思います。
学校教育で先ず、日本語で議論をする訓練を取り入れることが、理解されやすい外国語を話す前提のような気がします。

Spaceglowさん、

おっしゃるとおり、日本人は論理的に説明するということが苦手な人が多いように思います。分かりきっているだろうと説明を省くわけですが、これが異文化コミュニケーションでは障害になります。また、論理的に相手の矛盾をついたりすると、「理屈っぽい」と煙たがられるのが日本の社会ではないでしょうか。でも、これは国際社会では重要なスキルになりますし、英語コミュニケーションの助けにもなります。

一方で、リスニングが苦手とか、発音が下手という日本人特有の弱さもあります。TOEFLでは日本人は文法や読解の点は高いのに、リスニングで点を下げてしまう傾向が強く、ヨーロッパ人はその逆だと聞いたことがあります。発音とリスニングについては、小さな子供のときから親しむに越したことはなく、日本人には年齢にあった英語教育が必要とされると思います。
こんにちは。我が家の5歳の息子は、日本語と英語と中国語の多言語環境におりますが、来年、小学校は、日本人学校に入れるか?現地校に入れるか?親は、毎日のように考え、迷っています。日本人学校だと英語が弱くなりそうだし、現地校は日本語は全くありません。シンガポールなので、日本人学校でも英語はかなり力を入れているとは、聞いています。でないと、国際校に生徒を取られてしまう時代だからでしょう。現地校だと、シンガポールでは英語と中国語になってしまうのですが、日本語が皆無というのが、どうしても引っかかります。折衷案で、小学校は日本人学校で、中学校から現地校に行く計画が少し浮上してきています。ところで、このブログで言語間距離の話がありましたが、日本語はどの言語とも言語間距離が大きいですよね。だからこそ、希少価値があるという見方もあります。中国語はあんまり魅力のある言語には見えません。その理由は、やはり発音が非常に難しい。丁寧語・尊敬(謙譲)語が殆どない。中国人で尊敬できる芸術家・作家・スポーツ選手などがいない。ニュースを見ても、日本と中国を比べて経済力以外は何も負けないのになぁと悔しくなります。最近のニュースで、在日外国人に日本語力をビザ発給の条件に加えるというような記事を見ました。そういえば、薩摩藩では、薩摩(鹿児島)弁が話せるかどうかで、敵か味方を区別したという話を聞いたことがあります。英語のようにどこでもよく通じる言語のメリットは確かにありますが、日本語のように言語間距離が大きい言語のメリットというのも、何かありそうです。よくわからなですけど。・・・・やっぱり、日本人学校にしようかなぁ、、、シンガポールに住み始めたのは、現地校の英語教育レベルが高いからなんですが・・・。いろいろと書きましたが、TIさんのコメントを頂きたく御願します。
aoさん、お子さんの言語環境で悩まれているお気持ち、よく分かります。私たちも大いに悩みました。娘の場合、アメリカとイギリスで現地校以外選択肢がなかったので、結果として英語で幼児・低学年教育を受けさせることになりました。その代わり、日本語の遅れにはかなり神経質になり、土曜日は日本語の補習校、そのほかに公文の国語教材をさせるなど、低学年の間はとても気を使いました。ドイツに越してきたときには日本人学校の選択肢もありましたが、それまでの流れもあって英国式の学校を続けることにしました。その一方で、普段から家庭と週一回の塾での日本語の教育は欠かしていません。そのおかげもあり、9歳の今では日本語、英語ともに同年齢の子供に劣ることなく自由に操るようになっていますし、周囲のドイツ人とはドイツ語でもコミュニケーションできます。ただ、いずれにしても、母国語はきちんと習得できるよう親が毎日努力することが大事だと思います。

日本人学校に通う子供たちはやはり日本語モノリンガルになることは避けられないでしょう(いくら英語教育に力を入れているとはいってもレベルが違います)。また、親子ともに日本人だけで固まってしまうことが多くなるので、国際交流の機会は減ることになります。ただ、一方で日本に住んでいれば普通に身につける日本人らしさを身につけることはできるので、将来帰国したときに苦労は少ないと思います。ですから、いずれ子供を日本に帰国させるつもりなのかが一つの分かれ目になると思います。もし本帰国する予定がないのであれば、現地や国際的な環境になじむほうが子供のためになるのではないでしょうか。ただ、その場合でも、親が毎日日本語を教えることが母国語の習得には大変重要です。

中国人に尊敬できる著名人がいないということですが、最近は中国人映画監督には有名な人が何人もいますし、スポーツ選手にもアメリカのNBAで活躍する選手など、国際的に活躍する人は確実に増えて来ているようにも思います。私の会社でも中国ビジネスは年々重要度を増しており、中国語ができることは大きな強みです。英語以上に、これからの言語として中国語はバリューになると思いますよ。

日本語が他の言語と距離が遠いということによるメリットについて。言語が意思疎通のプロトコルということを考えれば、希少性というのは経済的な価値にはなりにくいですが、言語の特殊性から生まれる「思考回路」の独特さというのは稀有な才能を生み出す可能性があるのではないでしょうか。理論的なドイツ語が多くの優れた哲学者を生み出したとか、音楽的なイタリア語がオペラを生み出したとか、そういった言語の特徴を生かした芸術、思想などが日本人から生まれてくればいいなと思います。
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確かに日本人の英語力は低いですね。特に、コミュニケーション能力。
全体人口の云々と議論されていますが。やはり、日本の英語力はアジアで底辺だと思います。英語の教育を受けて、何かを目指しTOEFLを受験した結果の得点であることには変わりありません。
他の国に比べて、英語学習の価値が低いのも事実ですね。

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日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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