Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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EMEA という略語があります。これはEurope, Middle East(中近東), Africaの頭文字をとったもので、日本ではあまりなじみがない表現ですが、アメリカやヨーロッパではちょくちょく目にします。なぜなら、多くの国際企業がこのEMEAを一つの広い地域のくくりとしてビジネスを展開しているからです(ちなみに日本を含む太平洋周辺地域、極東はAPACと呼びます。Asia Pacificの略です)。

私は現在このEMEAを担当地域としているわけですが、ヨーロッパで商売する場合、国ごとの文化や民族、法規制、インフラなどの違いを頭に入れずして成功はおぼつきません(ヨーロッパだけで30カ国、アフリカ、中近東も含めれば100に届くでしょう)。たとえば、先日こんなことがありました。

旧ユーゴスラビア地域は近年ヨーロッパでは成長著しい地域ですが、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアでビジネスを展開しようと販売代理店を採用したものの、うまく行きません。よくよくエリア担当営業に話を聞いてみると、セルビア人の経営する販売代理店がボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアも担当しているとのこと。民族紛争のしこりがまだ色濃く残っており、うまくいくはずがないわけです。

バルト三国の場合、リトアニア、ラトビアはロシア人に担当させる一方、一番北になるエストニアはロシア人への拒絶反応が特に強く、民族的、言語的にフィンランドに近いので、フィンランドからビジネスを広げるといった方法を取っています。

スペインの場合であれば、首都マドリードと南部のバルセロナは反目がありますし、バスク地方であればこれはもうテロが起こるほど過激に反発します。ベルギーのオランダ語(フラマン語)圏とフランス語(ワロン語)圏の争いもよく知られるところです。スイスであればドイツ語とフランス語の商圏はかなり明確に分かれており、両方の言語ができる人を置かなければビジネスは半減します。北アフリカのマグレブといわれる国々(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)は歴史的にフランスとつながりが強いので、フランス経由でビジネスを展開するのもよくあるパターンです。
こんな具合に、ヨーロッパでのビジネスは、国ごとの民族や歴史、文化、言語の違いが絡んだ事情をよく知って、うまく調整していかねばなかなかうまくいきません。これらの細かく複雑な事情というのはアメリカ人や日本人がぽっとやってきて把握しきれるわけはありませんので、米国や日本の国際企業は現地の事情に通じた人を雇ってうまくビジネスを現地化(ローカライズ)していくわけですが、すべての地域や国をカバーするのは不可能に近いので、この国はがんばるけど、この国は捨てるとか、取捨選択をしていかねばならず、そこに企業ごとの戦略、方針の違いが反映されるわけです。逆に言えば、どんな大企業も完璧なローカライズは不可能なので、そこに二番手、三番手企業の攻め入る隙があるともいえるでしょう。
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コメント

とても大変な事ですね。
日本のような島国で生活していると、思いもつかない事です。
ヨーロッパで商売する事の困難さを感じます。
夫々の国の長い歴史がありますからね~~~。
中東は・・・日本人の宗教観では・・・理解出来ないのでは・・とも思いますから・・・。
繊細な問題で、気を使うのは商売をする人だけなんでしょうね。
外○省は全て兼務で認識していますから・・・まあ、大変なんでしょうけれど・・・・。
華さん、
華さん、ヨーロッパの複雑さと奥深さはやはり外からでは計り知れないものがあります。中東は宗教や価値観が異なる上に、外から得られる情報が限られているのでなおさらですね。我々企業が気を使うのは、ビジネスでの成功を求めてのことですから、政治的利権が絡むようなビジネスでなければまあ無害なものですが、外交問題は国や民族の複雑な背景を把握していないと、コソボ紛争のように、国際社会が外から手を出すことで逆に事態をこじらせてしまうことがありますので、より正しくて慎重な対応が必要ですね。

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日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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