Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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今週の「ドイツニュースダイジェスト」によれば、www.spickmich.de というウェブサイトが話題になっているそうだ。いつも先生に評価される立場にいる学生たちが、逆に教官の「成績」を評価しようという大胆な試みなのだが、半年で15万人の登録者を集め、若者の間に急速に浸透しているそうだ。停止を求めて裁判所に訴え出た教官もいたそうだが、学校組織の透明化につながるとの判決で却下されたとのこと。

『学生が教官を評価する』という試み、ドイツや日本では社会的な抵抗感があるようだが、アメリカでは普通に行われており、私はアメリカ留学時にこれを体験した。学期最後の授業の後に生徒全員に用紙が配られ、「分かりやすさ」「授業の熱心さ」「評価の公平さ」「試験問題や宿題内容の適切さ」などの項目について点数をつけるのである。コメントも寄せることができる。この集計結果は学期末に学校のイントラネットに公開され、全学生と新入生が評価結果を見ながら次の学期に選択する授業を選ぶ。当然ながら評価の悪い教授の授業は人気が下がる。学生の採点が悪くて改善が見られなければ、大学から解雇されるので、教官も一生懸命授業スタイルの工夫改善を図るのである。

日本やドイツでは「教官を学生が評価するなんてもっての他」という考え方が強いかもしれないが、それは学生を未熟者として見下している。思えば自分が高校や大学生の頃だって、あの教師は分かりにくいとか、眠くなるとか、採点が甘いとか、学生間の口コミの評判はあったし、それで取る授業を選んでいた。であれば、そういった情報を集めて学生同士で共有し、学校にフィードバックする仕組みがあってもよかったのにと思う。誰だって高いお金を払って、下手な教官の授業など受けたくないだろう。そういう意味で、私はアメリカの仕組みを民主的だし、学生を「大人扱いしている」と感じたし、上述のドイツのウェブサイトが人気を呼ぶことは健全な流れだと思う(ネットで部外者でも閲覧できることの是非はあるだろうが)。

アメリカの教育評価システムにはまだ続きがある。
アメリカのビジネススクールでは、周りの同級生に自分がクラスディスカッションやグループワークへの貢献を評価される”Peer Evaluation”と呼ばれる仕組みもあり、これによって、教官、同級生、自分がお互いを評価しあう「360度評価」システムができあがっている。これは米国企業にも広く導入されており、自分の昇進や給与は上司、同僚、部下、そして外部の顧客からの評価(人事部がお客にアンケートを送って、営業マンを評価してもらうのだ)によって決まる。人事考課に公平を期するアメリカならではの手間のかけ方である。自分の上司を評価するシステムは、私は以前イギリスのベンチャー企業に勤務していた時に経験して、民主的なだなと感銘したことがある。普通の日本企業なら「部下の顔色を伺って仕事なんかできるか」とでも言われて一蹴されそうなところだ。
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コメント

生徒が先生を評価する 日本の場合
このところしばしばコメントさせていただきご迷惑かもしれませんが私の経験を書かせていただきます。
私は、定年後、国立大学法人(従来の国立大学)機構の大学で非常勤の講師をしています。私の大学では法人化されてすぐ、全講義担当教員の、クラスに於ける学生の評価がアンケート方式で取られるようになりました。
教員の中には、学生を甘やかせるだけだとの不満が多いことも事実です。
アンケートは、5段階評価方式の設問で行われ、学生自身の自己評価項目も含みます。現在のところ、評価点数をコンピュータに入力し、平均をリストしたものが全教員に配られ、教員間の相対的な平均点数が分かるようになっています。
私は、アンケートは、その結果を、設問も含めどのように合理的に分析するかの研究が大切と思っています。残念ながら現在は記録を纏めるだけの段階のようです。私の物理学のクラスの評価は低いのですが、まだ首にはなっていません。
アンケート結果を色々な条件に合わせて正確に評価するための科学的研究はどのように進められているのでしょうか。
○会の添削をしていた頃、まさに添削者に対する成績表があり、半年に1度昇給及び降格の機会が有りました。
その内容は多岐に渡り、実に冷静に厳格に評価され、いつも緊張して評定を貰ったものです。
あくまでも企業の添削者に対する評価ですから、生徒からのコメントも影響しますし、限られた時間の中で又スペースに其の生徒さんに合ったアドバイスの量とか事細かく評価をしていただきました。
まあ、常に同じ生徒さんの答案に出会う訳では有りませんから・・・継続してという事は有りませんでした。
しかし、中に入った増○会で、私の添削後の作品を見て様々な評価をされていた方は、どの様な立場に立ってあの1枚の解答用紙に向かっていたのかな~~と疑問に思った事がタタ有ります。
1枚に回答用紙・・・・夫々の回答者に様々な思いを持って赤いペンを入れたものでした。
と思うのは、先生ってイロイロいて当たり前で、でも其のイロイロな先生から、常に沢山の美味しい物を提供されなくても、生徒によっては自分で頑張るきっかけさえ貰えば大丈夫だったり・・・いろいろ有りますよね。
人生はそんなに要領良く短距離で、走りぬけなくてもいいのではないかと思う事が沢山有りますが・・・・。
人を簡単に評価して、自分にとって欲しい物だけ与えてくれれば良いというのもな~~~と思うのですが・・・・。
Spaceglowさん
そうですか。日本でも同様の動きがあるのですね。「生徒を甘やかす」という考えは生徒を子供として見下している考えの表れだと思いますが、一方で日本の生徒は未熟だというのも分かるような気がします。欧米の大学生はおおむね考え方がしっかりしていて、甘えがありませんから。

データを科学的に分析できればそれに越したことはありませんが、日本ではまだ歴史が浅く、統計学的に分析できるほどデータの蓄積がないかもしれませんね。この目的は教育の質の向上でしょうから、結果をそれぞれの教官がどのように講義の改善に結び付けられるかがポイントだと思います。
華さん
私は教育者としての経験はアルバイトの塾講師くらいしかありませんから、そのあたりは華さんのほうがはるかに内情をよくご存知ですね。確かに先生には色んな人がいて、そのことが子供たちの感性や考え方を豊かにするという面があると思います。

ここで書いた教官を評価するというのは、大学生から大学院生の話ですから、生徒はすでに専門分野をある程度絞って、人生の目標に向けて突き進もうという段階ですし、すでに大人です。だからこそ、成り立つシステムでもありますね。

慶応の石井康史氏が言っていること:
1. 北米の学生と先生の関係に依存している。
2. 評価はプライベート情報である。
3. アフターケアを行う。
というのが、アメリカの授業評価の前提になっている。
...参考までに。
なお、日本語では生徒は高校生以下を指す。
大学生は学生。

nofuture4meさん
nofuture4meさん、なるほど。ご指摘の通り。学生に直しておきました。

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日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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