Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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今回日本に滞在して改めて感じたことの一つは、日本ではマーケティングが異様に発達しているということ。マーケティングというと堅苦しいが、要するに提供される商品が多様だということである。コンビニにある菓子の種類にしてもパッケージにしても、バリエーションの多様さと創意工夫では欧米もついてこれない。食品業界にいた友人によれば日本では年間数千種類もの菓子が発売されてすぐに消えていくらしい。先日触れたレストランの多様さと、メニューの豊富さも日本ならでは。そもそも日本人の食卓は少量多品種である。“単純な”食文化のドイツ、アメリカ、イギリスでは考えられない多様さだ。よってスーパーの食材も豊富になる。このように、日本では様々な商品やサービスが対象とする人や年代によってきめ細かく分かれている。一方で、携帯電話のようにおそろしくたくさんの機種があるのに、流行によってどれも似たようなデザインになることもあるのが、流されやすく、でも飽きっぽい日本人気質を表しているようだ。

また、日本のサービスは世界一だとよく言われる。確かにどこに行っても丁寧な対応をされることが多い。ただ、一方で普段欧米のサービスに慣れていると、日本のサービスは過剰ではないかという疑問も湧くのである。たとえば空港。

成田に着けばバゲッジクレームのところに航空会社の地上職員が何人も荷物のピックアップに問題がないかどうか待機しているし(そんなにたくさん問題があるとは思えないが)、チェックインカウンターには搭乗券を発行する人以外に荷物にタグを貼り付ける人がいる。出発前の出国手続きのカウンターの長い列の向こうでは航空会社の職員が何人も、出発間近のフライトナンバーを書いたプラカードを掲げて大きな声で「○○行き○○便ご搭乗の方おられますか」と叫んでいる。どれも欧米の空港では見られないサービスである。(欧米では遅れたやつが悪いのであり、航空会社はいちいちその面倒など見てくれない。)

デパートに行けば販売員がそれこそ欧米のデパートの倍くらいはいて、声をかけてくれては親切に最新流行の下着の説明をしてくれる。本屋ではカバーとしおりをつけてくれる。ウォシュレットの洗浄機能にしても、車のナビゲーションにしても、携帯電話の機能にしても、日本のものはとにかく至れり付くせりの充実ぶりである。

長々と書いてきたが、日本で売られているものは本当に多種多様であり、細かいところまで配慮が行き届いたものやサービスが多い。ただ、よいサービスや多様な商品はつまるところ企業や団体にとってコストであり、それが結果的には高い価格となって消費者に跳ね返っているのである。日本の航空会社はサービスはいいかもしれないが、その分世界標準に比べて運賃は高い。複雑に多様化した携帯電話の料金体系は逆に利用者に不親切になっている。数千種ものお菓子の開発、生産にはいったい何人のどれだけのエネルギーとコストが費やされているのか。それが本当に消費者にとってベストなのか(地球環境には悪いだろう)。

普段ビジネスの現場にいれば、メーカーが品種の多様化を追求せざるを得ない気持ちはよく分かる。自分がやらなければ誰かにやられてしまうという競争社会ならではの危機感にあおられ、止まることができない。私の経験では欧米の方がまだこのあたりはゆったりとしている。というか、数千種もの菓子を開発することを効率が悪いと切り捨てる文化があるし、そもそも日本企業の真似をしようにもみんな日本人ほどは働かないので、できないだろう。日本の企業社会が人を疲れさせるゆえんだ。

日本のホワイトカラーの生産性が悪いと言われて久しい。日本で本当に「もったいない」のは、日本人が商品企画にかける労力なのかもしれない。
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コメント

ほんとに
もったいないことが日本には溢れてますね。
私が感じる一番のもったいないものは、デパート、スーパー、コンビニ、etc.の過剰包装とレジ袋です。
日本のホワイトカラーの生産性が悪いことは、実際に日本企業と外資系企業で働いた経験から感じますね。でも、これは多品種とか、サービスの多様化を日本人が求めるのとは違う問題ですが。
ach soさん
確かに日本は過剰包装が目立ちますね。ドイツだとレジ袋は有料ですから、気を使いますし、コンビニやキオスクでも袋はくれませんよね。

ホワイトカラーの生産性ですが、多品種を開発・生産すると、それを企画、管理するのためのホワイトカラーのコストがかかるので、結果として生産性が下がるとも考えられます。少品種の方が効率がいいはずですから。いずれにしても、国全体が偏執狂的に多品種に走っているように感じられて、私は時々あきれてしまうんです。
私が日本で勿体無いと感じるのは・・製品を廃棄する事が多いという事です。
たぶん、作り過ぎなんでしょうね。
製品開発は、某食品メーカーでは、毎月のように新製品を出し、社内で競争させているほどですから・・・売れる物、売れないものが・・・毎日のように結果を出して、店頭に並び消えて行来ます。
コンビニでの売れ筋調査が一つの目安だそうですから・・・並べてもらう位置にもよるそうですから・・・細かい心使いを要求したり・・・全て≪売れる物≫を作り出す為の努力が感じられる作業のようです。
何か、異常を感じますが・・・≪売れない≫と判断されると、直ぐに製造中止ですから、それに伴い製品、包装紙と捨てる物も、増えますよね。
この製造の継続についての、判定が早い・・・・・のには驚かされます。
毎日が新製品の開発ですし、この開発は社内競争でもあるんでしょうね。
なんて、変に豊かな国になってしまったのでしょうか?私の好きな≪もろこし茶≫なんて、何ヶ月かで製造中止になりました。
ATMの日本語表示
ITさんの表題「もったいない」との趣旨にはそわなくて申し訳ありませんが質問です。
今、ロングアイランドのHuntingtonの南に来ています。ATMで現金を出そうと銀行のターミナルを使用しましたが、多国後の選択画面で、中国語、韓国語、スペイン語などかなり多くの言語がが出ましたが、日本語は見当たりませんでした。日本人は英語が出来ると思っているのでしょうか。
近くのグローセリーストアーでは日本人の子連れの奥様を見かけました。このあたりはハイテク関係の会社があるように見かけましたがどうでしょうか。
華さん
菓子や食品産業では、同じ社内でも商品のブランドごとに売れ行きを競争させるということがありますね。人の予算も店の棚も限られていますから、当然だめなものが蹴落とされていきます。しかも日本人は新しい物好きですから次々新しい物を出していかないと売れ行きが落ちて行きます。売上だけではなく、捨てられていく材料などのコストと環境への負荷も計算に入れれば、また競争のあり方も違ったものになるのかもしれませんね。

いずれにしても、モノを大事にする文化を標榜するのであれば、こうした非効率にも目を向ける必要があるのではと思います。
Spaceglowさん
ATMで日本語が見当たらないとのことですが、ATMのメーカーは特にロングアイランドだけを意識しているわけではないでしょうから、もう少し広い範囲の人口を見て言語を選んでいるのではないでしょうか。たとえばニューヨーク州全体とか、東海岸全域とか。

そうするとやはり中国人、韓国人、ヒスパニックに比べれば日本人は絶対数が少ないこと、また在米の日本人の方は英語が読める比率が高いことが理由にあるのではないでしょうか。

ところで、ロンドンの地下鉄の券売機は5カ国対応で、日本語も表示されます。日本人の利用がトップ5に入っているということでしょうね。

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Author:TI
日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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