Europe Watch

 これまでイギリス、アメリカ、ドイツと移り住んできたビジネスマンが、海外での暮らしや習慣、ビジネスなどについて様々な視点から語るブログです。
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海外にしばらく暮らすことのメリットの一つは、自分の国の文化や習慣を異なる視点から眺めなおすことができるようになることだ。その国で生まれ育ってしまうと分からない当たり前のことが、海外を見ることによって違うやり方もある、もっとよい方法もあるのだということに気付く。逆に自分たちの優れている点もよく分かるようになる。

今回日本に戻って感じたのは、日本社会は個人レベルでは非常に便利でサービスも充実しているが、全体として非効率な社会だなということだ。いわば個人最適、全体非効率である。いくつか例を挙げる。

コンビニでソフトクリームを買った。持ち帰りにするというと、ケースに入れて、さらに袋に入れてくれる。購入した人にとっては、持ち運びやすいかもしれない。でもこれは明らかな過剰包装だ。たかだか150円のソフトクリームだ。欧米ならば裸でそのまま、である。この包装は店にとってはコストになり、ごみが増えてごみ収集のコストも上がるし、環境も破壊する。このコストを支払うのは、我々消費者だ。

成田空港の手荷物受取所には空港職員や航空会社の職員がたくさんいて、荷物に間違いがないか、問題がないか、チェックできるように待機している。伊丹ではご丁寧にバゲージタグの番号まで一人一人照合チェックしていた。ヨーロッパの空港ではまず見られない光景だ。欧米では荷物を間違えるのは自分の責任。人がわざわざ面倒を見たりしない。日本のやり方は何か問題があった時には便利ではあるが、たいていは問題ない。彼らの給料を払っているのは、元をただせば我々利用者である。日本の空港の着陸料の高さは世界でも飛びぬけて高いことで悪評高いが、こうしたところも一因なのではないか。

コンビニに行けば、欧米の巨大スーパーでもびっくりと言うほどの点数のお菓子やドリンクが並ぶ。多品種にかけては世界一だろう。日本では毎年1500品種ものお菓子の新商品が開発されると言う。しかしそのほとんどは数ヶ月で消えていく運命にある。誰がその膨大な開発・流通コストを支払うのか。消費者である。

他にも、空港を出れば宅配便のカウンターにアルバイトが何人もで呼び込みをしている。バスの停留所では切符のもぎりをして行き先をアナウンスするする人がいるし、駐車場では誘導員が何人も赤い棒を持って車を招いている。高速道路には工事中の旗を振るおじさんがいるといった具合だ。欧米ではバスは自分の行き先くらい自分で見ろといわれるし、駐車場で車を入れるところは自分で見つける。工事中の看板があればおじさんが旗を振らなくても車はよけて通る。

こうした例は枚挙に暇が無く、日本社会のあらゆる側面がそういう矛盾を抱えていると言える。個人の嗜好に合わせてサービスや商品を多様化しすぎ、その結果全体の効率が悪くなっているのが今の日本の社会だ。欧米の社会は日本に比べれば不便かもしれないが、もっとシンプルだし、結果として全体の効率は良いようだ。日本は至れりつくせりではあるが、欧米に比べると過剰に人とサービスが提供されており、その分人件費やコストがかさむ。で、そのコストはというと、結局料金や税金という形で消費者に跳ね返ってくる仕組みだ(社員一人当たりの給料が安くなるということもあるだろう)。こうしたことがOECDの先進国生産性ランキングや、欧米企業に対して日本企業の低い利益率となって現れている。

では今後、日本社会はどうなっていくのか。

私は上に挙げたような日本の非効率さは今後徐々に淘汰されていくだろうと考えている。日本ではこうした支え合い、もたれ合いの結果、失業者は少ないが、産業や公共機関は生産性や利益率が低く、企業の株価は伸び悩んでいる。株取引も国際化が進む今、日本企業の株価が低ければ海外投資家のターゲットとなり、投資家から生産性を上げろというプレッシャーは高まるだろうし、そうすれば企業も業務効率を上げなければならず、これまでのような手厚いサービスは維持できなくなるだろう。さらに今後少子化で若年労働力が不足すれば、人的にもサービスの質を維持するのは難しくなる。そう考えると、今後日本の進む方向はやはり無駄の排除、特に過剰なサービスや人的資源の削減という方向に行くのではないかと考えられる。これは経済的、社会的には健全な変化だろうと思う。日本は消費税増税以上に、社会コストを下げる努力がもっと必要だろう。

ただし、どこが無駄なのか、どこを減らすことができるのか(また逆に減らすべきではないのか)というのは、日本にずっといると意外と見えないものなので、そうしたところは外国人や海外経験のある人材(政治家や官僚、企業経営者)にもっとリーダーシップを期待したいところだ。私も、子供たちの将来のために、母国日本には住みよい国になって欲しいと思うので、機会を捉えてはもっとこうすればいいのにといった提言を(及ばずながら)していきたいと思うのである。
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コメント

まさに、おっしゃるとおり・・・。
日本で、生産されるものは、全て進化しています。
この進化に対するエネルギーは・・・
どうして???と思うほど開発するし、捨てるし・・・。
企業内競争で、新しい物へのチャレンジも繰り返されています。
別に、国民全て移り気ではないので・・・必要ともしておりませんが・・・。
定番の品を探すのが、難しい程です。
この現象は、国民性でしょうか・・・・?
自動車の開発も、欧米より周期が短いように思います。
車種については・・・・・最近あまりにも簡単に新車が発表され、会社のシステムまで変わってしまうので・・・・。
車のヘッドマークを見るだけでは、何処の車か分からないほどです。
それでも、品物は、売れて・・・・。
絶え間ない努力は続けられます。
そして、何も資源を持たない国なのに、何故か焼却に経費を掛けて・・・・・。
社会○険庁も、預かっているだけのお金を使い捨て状態に消費させて・・・・。
やはりどこかオカシイですか????
確かに
同感です。海外にいて、「日本人がどれだけ親切でまた慎み深い人種か」ということを他の外国人から聞くけれど、その度に思うのは、親切かもしれないけれど、それだけにサービスに対しては要求が高く、また"キレ易い"ということ。確かに外に対して直接口にはしないものの、私も含めて、日本人は与えられている事に慣れているからか、サービスの悪さに対する不満の発し方は尋常では無いと思う。それは渋滞での運転マナーの悪さにも象徴される。日本人だけでなく、アジアの、特に「サービスが優れている」という国は運転マナーが悪い。結局、辛抱が無い国民を相手にしているから、各自を喜ばせる為に、色々と個別のサービスを提供する。そして、そこにいらないコストが増えてくる。そして国民は、さらに甘やかされる。という悪循環が存在しているのだと思う。でも、悪循環ながら、そこから得るメリットもあり(仕事は増える)。「極めの細かいサービス」が売りの日本に効率の良さを求めるのも難しい気がします。
T.I. さん

つい先ほどCNN、BBCニュースを見てイギリス、特にヒースロー空港で警戒レベルがクリティカルに引き上げられ、機内持ち込みがパスポート航空、券個人の医薬品以外すべて禁止、荷物検査が強化され旅行者にどんな影響が出るか、これが何時まで続くか分からない、といったことのようです。

こんな言い方はよいかどうか分かりませんが、TI さん御家族はいいタイミングでイギリスを脱出されましたね。

この状況が世界の主要空港に及ばなければよいのですが。
日本社会の非効率性と実質的なサービス
T.I.  さんの
<外国人や海外経験のある人材(政治家や官僚、企業経営者)にもっとリーダーシップを期待したいところだ。>
にはまったく同感です。
 
政府や、一流会社の幹部は、海外視察をして海外のことを知っているつもりでいるでしょうが、下の人にお膳立てされて ”うなずく” だけの視察では何も分かっていないと思っています。また、学生や留学の身分でも分からないことが多いと思います。やはり現地人と競争的立場で収入を得て生活した経験が必要と思います。
こういう私も、アメリカで生活したのはもう40年も前で、後は旅行者としての経験したありませんが、日本の社会が非効率であることは間違いないと思います。
だからといって、日本の社会構造が市民に親切だとは思いません、その最たるものが鉄道で、改札、集札に大きな設備投資をし、その上まだ足りなくて車内検察までする、まるで乗客を犯罪者扱いにして監視している。もし検察をするのであれば、ただ「有難うございました」というのではなく、切符の行き先を見て何時に到着しますといった情報を告げれば、検査されているという不愉快さが和らぐと思います。
ホテルやレストランなども、同価格帯のレベルで欧米と比べれば、ロビーの設備やサービスの人数は多いが、実質的なサービスの出来る人材を配置しているのではありません。たとえばレストランなどでも料理の説明が出来るウェーター(レス)は少ないし、最後の注文品を置いていくのと同時に請求書を置いていき、客は、なにか要望があれば「すみません」と謝って追加注文をしなければなりません。最後に客が、置かれた注文書をもってレジに行き、計算が終わるまで立たされて待つ。こんな不思議な習慣は何処から来たものかといつも思います。
今回、ドレスデン、オーストリアのレストランでは、他の欧米諸国と異なり、客が勝手に座席に付いたり、ウェーターがテーブルで現金で勘定をする習慣を見ましたが、チェックを要求するまでは、ウエーターが勝手にテーブルに請求書を置いていく様なことはありませんでした。

華さん、
私たちも普段世界市場を相手に商売をしていて、日本市場がいかに特殊か、世界標準とはかけ離れているかということを思い知らされることがしばしばあります。細かいし、過剰品質だし、注意書きはくどいし、あと、車もそうですが、デザイン性について統一感がないので(そのくせ流行を追うので似る)、どこのブランドの車か分かりません。

絶え間なく新商品を出さないと飽きられるという強迫観念に駆られて企業は走り続けます。そこにかかるエネルギーと時間はすごいものがあると思いますが、本当に売れるものはほんの一部です。ストレスで自殺者まで出して。

何か根本的なところで歯車がくるっているように感じますね。
Mikaさん、
>サービスに対しては要求が高く、また"キレ易い"
なるほど、そういわれてみればそうですね。口うるさい客が多いのは確かでしょう。

>辛抱が無い国民を相手にしているから、各自を喜ばせる為に、色々と個別のサービスを>提供する。そして、そこにいらないコストが増えてくる。そして国民は、さらに甘やかされ>る。という悪循環が存在している

同感です。要求するレベルが高いから、企業もそれに合わせる、だからそのサイクルから抜けられない、というのは確かですね。サービスレベルを下げずに効率を上げる、そんな社会が出来上がればすばらしいのですが。




spaceglowさん
>日本の社会構造が市民に親切だとは思いません。

確かに、過剰に細やかで親切なことがあるかと思えば、逆に柔軟性がなく、融通がきかず、人間味がないなと感じることも多々ありますね。特に日本のファミリーレストランなど、機械的過ぎて味気ないですよね。マニュアル主義ですし。あと、何でもかんでも細かく指示をして、人を子ども扱いするのも日本の特徴だと感じます。

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日本を離れて八年。イギリス、アメリカを経て現在ドイツ在住。30代も後半に入ったビジネスマンで二児の父。

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